ブロックチェーン開発基盤「コスモス」の開発を主導するコスモスラボは9月9日、金融機関によるトークン化やデジタル資産の活用を支援する「コスモス・パートナー・ネットワーク」を立ち上げたと発表しました。同ネットワークには初期パートナーとしてビットゴーやギャラクシーデジタルなど17社が参加し、本人確認やカストディなどのソリューションを包括的に提供します。金融機関がブロックチェーンを導入する際の事業者選定や統合に伴う負担を軽減し、トークン化預金の実用化を推進する枠組みとして注目されます。
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金融機関の導入負担を軽減するパートナー連携の枠組み
今回のネットワーク発足には、コスモスラボが銀行など金融機関向けのトークン化支援体制を強化する狙いがあるとみられます。従来、金融機関がブロックチェーン技術を採用する場合、複数の専門事業者を個別に選定し、各社のサービスを組み合わせる必要があり、導入時の負担となっていました。
同ネットワークには、カストディ(資産の保管・管理)サービスを提供するビットゴー、機関投資家向け取引サービスを提供するブロックチェーンドットコム、インフラを提供するブロックデーモン、デジタル資産の運用や融資を手掛けるギャラクシーデジタルなど、17社が初期パートナーとして参加しています。参加企業は本人確認(KYC)や企業確認(KYB)、資産の保管・管理、規制対応のモニタリングなどを提供し、コスモスラボが連携する金融機関の取り組みに参画できる仕組みとなっています。
トークン化預金を支援する基盤と想定される用途
コスモスラボは同枠組みにおいて、デジタル台帳基盤および「コスモス・トークナイゼーション・スイート」を提供します。同スイートは、銀行預金をブロックチェーン上で表すトークン化預金の発行や移転を支援する基盤であり、既存の銀行システムや外部の決済ネットワークとの連携に対応しています。
基盤の具体的な活用例としては、24時間365日の決済や資金管理の効率化が挙げられています。さらに、あらかじめ定めた条件に応じて資金を引き渡すエスクロー(第三者預託)や貿易金融の自動化、AIエージェントによる商取引への活用なども想定されています。コスモスラボは今後、パートナー企業を追加し、ネットワークを順次拡大する方針を示しています。
コスモスラボの体制と直近のセキュリティ課題への対応
コスモスラボは、スイスの非営利組織インターチェーン財団の完全子会社として、コスモスの開発や事業拡大を主導するとともに、企業向けのソリューションや技術支援を担っています。
一方で、同社は8月28日に「コスモスEVM」の脆弱性を悪用した一連の攻撃に関する事後報告書を公開しています。報告書によると、攻撃は8月20日から25日にかけて発生し、6つのネットワークで脆弱性が悪用されたほか、4月に報告されていた脆弱性の影響範囲を当初誤って判断していたことも判明しました。これを受けコスモスラボは、重大な脆弱性の評価・修正プロセスや情報共有基準を見直し、外部専門家と連携したセキュリティ運用の監査を実施する方針を掲げています。
ポイント
- コスモスラボが金融機関の資産トークン化を支援するパートナーネットワークを発足させ、初期パートナーとして17社が参加した点。
- 金融機関が複数事業者を個別に選定・統合する負担を軽減し、トークン化預金の導入プロセスを簡素化できる点。
- 既存の銀行システムと接続し、24時間365日決済や貿易金融の自動化、AIエージェント決済など多様なユースケースへの対応を想定している点。
- 8月に発生したEVM関連の脆弱性問題を受け、セキュリティ評価や外部監査体制の見直しと並行して金融機関向けソリューションを拡大している点。