オズモシスがノミックのエクスプロイトを受け緊急アップグレードを実施。攻撃者の22.65 BTCを凍結し差し押さえ提案の方針

分散型取引所(DEX)のオズモシス(Osmosis)は、ビットコイン(BTC)の分散型ブリッジを提供するノミック(Nomic)チェーンでエクスプロイトが発生したことを発表しました。攻撃者はノミック独自の転送メカニズムに存在したバグを悪用してnBTCを二重使用し、オズモシスへ偽のバウチャーを送信できる状態になっていました。オズモシス側はバリデーターと連携して緊急アップグレードを行い、攻撃者のアドレスにある22.65 BTCを凍結する措置を講じました。ブロックチェーン間を接続するブリッジ機能における独自実装の不備が、接続先ネットワークの資産裏付けに影響を及ぼした事例として注目されます。

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

被害の規模と裏付け資産回復に向けたガバナンス対応

オズモシスでは、複数のBTC関連資産をまとめて統一されたBTC資産として扱う「アロイドBTC(Alloyed BTC)」が提供されており、ノミックが発行するnBTCもその裏付け資産の一つとして組み込まれていました。今回悪用された攻撃には39.84 nBTCが関連しており、これはアロイドBTCの裏付け全体の約36%を占めていたと説明されています。

事態の発覚を受け、オズモシスのモデレーション・サブDAO(Moderation subDAO)は、オズモシス上におけるノミックおよびアロイドBTCへの資産の流入と流出を即座に凍結しました。さらにバリデーターとともに緊急アップグレードを実施し、攻撃者のアドレスに存在していた22.65 BTCの凍結に成功しました。

オズモシス公式の発表によると、今後は凍結した22.65 BTCの差し押さえについてガバナンス提案が行われる予定です。また、差し押さえ分を差し引いた残りの不足分については、コミュニティプールに蓄積されているBTCを充当することで、アロイドBTCの完全な裏付けを回復する計画であり、こちらもガバナンスの承認を求める方針とされています。

エクスプロイトの発生要因とエコシステムの状況

ノミックとオズモシスは、複数の独立したブロックチェーンがブロックチェーン間通信プロトコル「IBC(Inter-Blockchain Communication)」を通じて相互接続するコスモス(Cosmos)エコシステムに属しています。ノミックはBTCに1対1で裏付けられたnBTCを発行し、オズモシスなどのチェーンへIBC経由で移転する仕組みを提供していました。

オズモシス公式の説明によると、問題となったバグはノミック独自のカスタム転送メカニズムに存在していたものであり、オズモシス自体やIBCプロトコルそのものは侵害されていないと報告されています。

なお、コスモスエコシステムにおいては8月に共通ソフトウェア「コスモスEVM(Cosmos EVM)」の脆弱性を悪用した攻撃がコスモスSDK採用の6ネットワークで発生していましたが、ノミックはコスモスSDKではなく独自の開発スタック「オルガ(Orga)」を採用して構築されています。現時点で今回のエクスプロイトとコスモスEVMの脆弱性との関連性は示されていません。

ポイント

  • ノミック独自のカスタム転送メカニズムに存在したバグによりnBTCの二重使用が発生し、オズモシスへ偽のバウチャーが送られる状態となりました。
  • オズモシス上で提供されるアロイドBTCの裏付けのうち約36%に相当する39.84 nBTCが関連被害を受け、ブリッジ資産の統合運用に伴う波及リスクが浮き彫りとなりました。
  • オズモシス側は入出金を凍結するとともに緊急アップグレードを実施し、攻撃者アドレスの22.65 BTCを凍結しました。
  • 凍結資産の差し押さえとコミュニティプールBTCによる不足分補填がガバナンス提案される予定であり、DAOによる損失補填と資産保全の実効性の観点から注目されます。
  • オズモシスおよび通信基盤のIBC自体は侵害されておらず、コスモスSDKとは異なる独自スタック「オルガ」による実装箇所が攻撃対象となった点でも注目されます。
ブロックチェーン総研プライムBlockchain Research Institute Prime
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