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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

リップルのステーブルコインRLUSDとは?XRPとの違いと企業の使い道

RLUSD(Ripple USD)とは、米国のリップルが傘下の信託会社を通じて発行する、米ドルと1対1で裏付けられたステーブルコインです。同社の暗号資産XRPとは別のトークンで、価格が動くXRPに対し、RLUSDは送金や清算に使う米ドル建ての決済手段という役割を持ちます。

国際送金の清算は、どう変わる?
従来は送金事業者や銀行が各国に資金を積んで清算する。RLUSDでは米ドル建てのトークンで清算する。

2024年12月の提供開始から、リップルは国際送金サービスへの組み込みやトークン化国債ファンドとの交換に用途を広げてきました。2026年6月にはSBI VCトレードが国内で取扱いを始め、日本企業にとっても検討の対象に入っています。人の送金だけでなく、AIエージェントが行う支払いも同じ米ドル建ての決済レイヤーに載る流れのなかで、清算の手段をどう選ぶかが企業の論点になりつつあります。

  • RLUSDはNYDFS監督下の信託会社が発行する米ドル建ての決済用トークン
  • XRPは価格が変わる暗号資産、RLUSDは米ドルに連動する清算用途
  • 準備資産は米国短期国債や預金などで構成し、月次の第三者検証を公表
  • 国内では2026年6月にSBI VCトレードが取扱いを開始
  • 導入判断は用途、取扱条件、会計とAML、相手先の対応の確認が前提

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

リップルのステーブルコインRLUSDとは

RLUSDとは、リップル傘下のStandard Custody & Trust Company, LLC(SCTC)が発行する、米ドルと1対1で償還されるステーブルコインです。SCTCはニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が認可・監督する特定目的信託会社で、米国の州規制の下に置かれた発行体である点が特徴です。

正式名称、発行体、監督当局、提供開始、対応チェーンを並べる。
RLUSDの基本情報
項目内容
正式名称Ripple USD
ティッカーRLUSD
発行体Standard Custody & Trust Company, LLC(リップル傘下)
監督当局NYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)
提供開始2024年12月17日
対応チェーンXRP Ledger・Ethereum・Base・Ink・Optimism・Unichain・XRPL EVMサイドチェーン

提供開始時の対応チェーンはXRP LedgerとEthereumの2つで、その後にBaseやOptimismなどが加わりました。XRPとの違いは役割にあり、XRPが送金の橋渡しに使われる価格変動のある資産であるのに対し、RLUSDは米ドルの価値をそのまま移す清算の手段です。両者の違いは後の章で表にまとめています。

ステーブルコインRLUSDの発行体と裏付け資産

RLUSDの裏付けは、発行体が保有する米ドル建ての準備資産です。準備資産は発行体の運営資金と切り離された分別口座で保管され、構成には次の4種類が含まれます。

短期国債、政府系MMF、リバースレポ、預金の4種類で準備資産を構成する。
準備資産を構成する4種類
  • 残存3か月以内の米国短期国債
  • 政府系MMF
  • 米国債を用いたNYDFS承認先とのオーバーナイト・リバースレポ
  • 米国の州・連邦認可の預金取扱機関への預金

準備資産は独立した第三者の会計事務所による月次アテステーションを受け、流通量と準備資産の構成が検証されます。報告は月末から30日以内に公表される仕組みです。リップルの透明性ページでは、2026年10月8日時点の流通量は約24億6,070万ドル、準備資産は約26億290万ドルでした。

機関顧客の米ドル入金、ウォレットの確認、RLUSDの発行の3段階。償還は逆の流れ。
法人がRLUSDを発行する流れ

法人がRLUSDを発行・償還する流れは3段階です。

発行体の規制区分、準備資産の質、開示の頻度で安全性を判定する。
安全性を判定する3つの軸
  1. 機関顧客が米ドルを入金する
  2. リップルがウォレットのコンプライアンス確認を行う
  3. RLUSDが発行される(償還はこの逆で、RLUSDを戻して米ドルを受け取る)

直接の顧客は銀行水準のKYC/AMLを満たす法人に限られます。安全性は発行体の規制区分、準備資産の質、開示の頻度の3点で判定できるため、社内のリスク評価もこの軸で書けます。

企業によるステーブルコインRLUSDの使い道

2025年4月2日、リップルはRLUSDを同社の国際送金サービスRipple Paymentsに統合したと発表しました。発表時点で、国際送金事業者のBKK ForexとiSendがRLUSDを使い、国際送金のトレジャリー業務を改善していました。RLUSDの主な使い道は個人の支払いではなく、事業者間の清算と資金管理です。

2025年4月の発表で挙げた国際送金、流動性、DeFi連携、オンオフランプ、担保の5用途。
リップルが挙げたRLUSDの用途

リップルは同じ発表で、RLUSDの用途として国際送金の即時決済、送金・トレジャリー業務の流動性確保、DeFi連携、法定通貨と暗号資産のオン/オフランプ、トークン化資産取引の担保の5つを挙げています。企業の検討では、このうち国際送金の清算、資金管理、トークン化資産の決済が中心になります。

用途①:国際送金の清算

送金事業者が国をまたぐ支払いの清算にRLUSDを使う用途です。BKK ForexやiSendの事例がこれにあたります。なお、マレーシアのMoneyMatchや、Instaremもリップルの送金サービスの利用企業ですが、公式事例はRippleNetやRipple Paymentsの利用を紹介したもので、RLUSDの使用は記載されていません。

資金の置き方、清算の手段、時間の制約を従来とRLUSDで比べる。
従来の送金とRLUSDでの清算

用途②:トレジャリーと流動性の管理

送金のために各国に置いておく資金を、米ドル建てのトークンで機動的に動かす用途です。事前に積んでおく資金をどこまで圧縮できるかが導入判断の中心論点になります。

送金用の資金を米ドル建てトークンで動かすときの仕組み、業務の変化、論点。
トレジャリーでの使い方と論点

用途③:トークン化資産の決済

2025年9月23日、リップルとSecuritizeは、BlackRockのBUIDLとVanEckのVBILLというトークン化短期国債ファンドの保有者が、持分をRLUSDに24時間365日交換できるスマートコントラクトを発表しました。トークン化された金融商品の受け渡しに使う決済通貨としての用途です。

BUIDLやVBILLの保有者がスマートコントラクトで持分をRLUSDに交換する流れ。
トークン化国債ファンドとRLUSDの交換

ステーブルコインRLUSDとXRPの違い

RLUSDとXRPは同じリップルの名前で語られますが、性質の異なる別のトークンです。XRPはXRP Ledgerのネイティブ資産である暗号資産で、国内では登録暗号資産交換業者が暗号資産として取り扱っています。RLUSDは米ドルと1対1で償還されるステーブルコインで、国内では電子決済手段として取扱いが始まりました。

価格の性質、発行の仕組み、送金での役割、国内での扱いを比べる。
RLUSDとXRPの役割の違い
比較項目RLUSDXRP
価格の性質米ドルに連動市場で変動
発行の仕組みSCTCが米ドルの入金に応じて発行XRP Ledgerのネイティブ資産
送金での役割米ドルの価値で清算する手段通貨間をつなぐ橋渡し資産
国内での扱い電子決済手段暗号資産

送金業務で為替や価格の変動リスクを持たずに清算したいならRLUSD、ブリッジとしての流動性を使う設計ならXRPと、目的で使い分ける関係です。

RLUSDとUSDC・USDT・JPYCの比較

RLUSDを検討する企業は、他の主要なステーブルコインとの違いも確かめておく必要があります。発行体と規制、裏付けの開示、国内での扱いを並べると次のとおりです。

RLUSD、USDC、USDT、JPYCの発行体と裏付けを並べる。
主要ステーブルコインの発行体
銘柄発行体と規制裏付けと開示主なチェーン国内での扱い
RLUSDSCTC(NYDFS監督の信託会社)米国短期国債・預金等、月次アテステーションXRP Ledger・EthereumほかSBI VCトレードが取扱い
USDCCircle準備資産で裏付け複数チェーンSBI VCトレードが2025年3月から取扱い
USDTTether現金同等物のほか第三者への貸付債権等も含む複数チェーン準備資産の構成が他の3銘柄と異なる
JPYCJPYC株式会社(資金移動業)日本円(預貯金・国債)で発行残高の100%以上を保全Ethereum・Avalanche・Polygon・Kaia資金決済法上の電子決済手段

USDCは2023年3月、準備資産の約8%にあたる約33億ドルをシリコンバレー銀行に預けていたことから一時ドルとの乖離が起き、その後解消しました。BUSDは2023年2月、NYDFSの指示で新規発行が停止されています。いずれも準備資産の預け先と発行体の監督がステーブルコインの信頼を左右することを示す事例です。

2023年のBUSD停止とUSDCの乖離から、RLUSDの開始と国内取扱いまで。
ステーブルコインの信頼に関わった出来事

規制の明確さと事業者間の清算を重視するならRLUSDやUSDC、日本円で完結する国内の支払いならJPYCが候補になります。

日本企業はステーブルコインRLUSDを使えるか

日本では、法定通貨建てで発行価格と同額での償還が想定される一部のステーブルコインについて、資金決済法上の「電子決済手段」として整理される枠組みが設けられています。この枠組みは2023年6月1日施行の政令・内閣府令で整い、2026年6月1日には改正資金決済法が施行されました。

電子決済手段の枠組みの施行から、改正資金決済法の施行、RLUSDの取扱い開始まで。
国内の制度とRLUSDの取扱い

SBI VCトレードは2026年6月24日からRLUSDの取扱いを始め、同社は「国内初の4号電子決済手段」と表記しています。RLUSDは米国法上は信託受益権ではありませんが、同社が日本法の観点から4号電子決済手段と整理しました。国内企業も登録事業者を介してRLUSDを保有・送金できる段階に入ったといえます。

対応チェーン、出庫上限、預託上限、乖離時の扱いを確かめる。
国内の取扱条件で確かめる点

同社が告知した取扱条件には、業務利用の前提になる項目が含まれます。

  • 対応チェーンはイーサリアムのみ
  • 出庫は1回100万円相当額まで、1日あたりの預託上限あり
  • 価格乖離時は入庫の反映を停止することがある
  • 発行体破産時は同社に同額の法定通貨での償還義務があり、償還能力を上回る預託は取引制限の対象

業務で使うには、取扱事業者の条件に加えて、保有時の会計処理と税務の整理が欠かせません。

RLUSD導入のリスクと設計上の注意点

RLUSDは規制下の発行体と月次の開示を備えていますが、リスクがなくなるわけではありません。読者の業務で起きうる損失の形に置き換えると、5つに整理できます。

発行体、準備資産、規制、スマートコントラクト、カウンターパーティーのリスク。
RLUSDの5つのリスク
リスク業務で起きうること
発行体リスク発行体の経営や監督に問題が生じ、償還が滞る
準備資産リスク準備資産の預け先に問題が起き、ドルとの乖離が起きる(USDCの2023年の事例)
規制リスク当局の判断で新規発行が止まる、国内の取扱条件が変わる(BUSDの事例)
スマートコントラクトリスクチェーン上の契約やブリッジの不具合で資産が動かせなくなる
カウンターパーティーリスク取扱事業者や送金の相手先が停止し、出入金ができなくなる

加えて、RLUSDは2024年12月の提供開始から日が浅いため、大規模なストレスを経験した実績はまだありません。清算の主手段に据える前に、代替手段と停止時の手順を決めておくことが設計上の前提になります。

RLUSD導入検討の進め方とチェックリスト

導入の検討は、用途を絞るところから始めます。進め方は4段階です。

用途の特定、取扱事業者と制度の確認、会計と税務とAMLの整理、小口送金での検証の順に進める。
RLUSD導入検討の4段階
  1. 用途の特定(事業部門・財務部門)。どの送金区間や資金管理で使うかを決める
  2. 取扱事業者と制度の確認(法務部門)。電子決済手段としての取扱条件と送金上限を確かめる
  3. 会計・税務・AMLの整理(経理部門・コンプライアンス部門)。保有時の評価と取引モニタリングの体制を決める
  4. 小口送金での運用検証と本番判断(事業部門・財務部門)。着金時間とコストを実測し、本格導入の判断材料にする

検証は試すこと自体が目的ではなく、本番に進むかを決める材料を集める工程として設計するのが要点です。目的別に確認することを並べると次のとおりです。

用途と相手先、制度、会計とAML、運用検証の四つの観点で確認する。
RLUSD導入前のチェックリスト
検討の目的・論点確認すること確認先完了の判定
用途の特定どの送金・清算区間で使うか社内の送金実績データ対象区間と想定金額が決まっている
取扱事業者と制度電子決済手段としての取扱条件と送金上限取扱事業者の告知・金融庁の公表資料上限内で業務が回るか判断できている
会計・税務保有時の評価と仕訳監査法人・税理士処理方針が文書化されている
AML・KYC取引モニタリングの体制社内コンプライアンス部門・取扱事業者監視の手順と担当が決まっている
送金相手先受取側がRLUSDに対応できるか送金先の事業者受取の可否と方法が確定している
運用検証小口送金での着金時間とコスト自社の検証記録本番判断の基準値と比較できている

RLUSDを清算に使うかどうかは、用途、取扱事業者の条件、会計処理、送金相手先の対応がそろって初めて判断できます。この4つは事業部門、法務、経理、取引先にまたがり、どれか1つの部門だけでは埋まりません。銘柄の比較だけでは導入の可否が決まらないのはこのためです。ステーブルコイン導入支援の進め方では、ユースケースの設計から制度対応までの流れを整理しています。

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自社でもステーブルコインを保有・運用し、決済まで実践しています。要件が固まっていない段階のご相談も歓迎です。

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よくある質問

RLUSDを使うとXRPの価格に影響しますか

RLUSDとXRPは別のトークンで、RLUSDは米ドルの入金に応じて発行される仕組みです。RLUSDの発行量はXRPの価格ではなく、米ドルの入金と償還に応じて増減します。業務での検討は、価格ではなく清算の手段としての性質で判断します。

個人でもRLUSDを入手できますか

国内では、2026年6月24日からSBI VCトレードが電子決済手段としてRLUSDを取り扱っています。リップルから直接発行を受けられるのは、銀行水準のKYC/AMLを満たす法人に限られます。

RLUSDがドルとの乖離を起こすことはありますか

RLUSDは米ドルと1対1で償還される設計で、準備資産は月次の第三者検証を受けています。ただしステーブルコインの乖離は準備資産の預け先に問題が起きたときに生じうるもので、USDCは2023年3月に一時的な乖離を経験しました。SBI VCトレードも、価格乖離時は入庫の反映を停止することがあると告知しています。

リップルのステーブルコインRLUSDのまとめ

RLUSDは、NYDFS監督下の信託会社が発行し、米国短期国債や預金で裏付けられた米ドル建ての清算手段です。価格が動くXRPとは役割が異なり、国際送金の清算やトークン化資産の決済で使われ始めています。

規制下の発行体、米ドル建ての清算、国内の取扱いを押さえ、条件を確かめて判断する。
RLUSDの性質と導入の条件

国内では2026年6月にSBI VCトレードが取扱いを始め、日本企業も登録事業者を介して使える段階に入りました。業務での利用は、取扱条件、会計とAML、送金相手先の対応を確かめたうえでの判断になります。

RLUSDを送金業務に組み込むかどうかは、制度の確認と実務の設計を同時に進めないと決まりません。自社の送金区間や資金管理に当てはめた検討の進め方は、ステーブルコイン導入支援で紹介しています。ブロックチェーン総研では、ステーブルコインの制度と実務の動きを引き続き取り上げます。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・投資助言ではありません。暗号資産には価格変動リスクがあり、投資元本を失う可能性があります。個別の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。

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