分散型取引所(DEX)ハイパーリキッドのガバナンストークン「HYPE」は、暗号資産市場全体が下落傾向にあるなかで前四半期比79.2%高を記録し、史上最高値を更新しました。米国における現物ETFの相次ぐ上場に伴う資金流入に加え、基軸資産をUSDCへ移行したことによる収益構造の強化が独立した価格上昇を支えたと見られます。単なる投機的な動きではなく、プロトコルが創出する収益や利回りの還元構造が市場から評価された事例として重要視されています。
現物ETFへの資金流入と相場全体から独立した価格動向
調査団体HRCが発表した四半期レポートによると、ガバナンストークンであるHYPEは6月16日に史上最高値となる76.90ドルを記録し、四半期終値で66.04ドルとなりました。同期間にビットコインが14.1%下落し3四半期連続のマイナスとなるなか、HYPEは市場全体の動向から独立して上昇する独歩高を2四半期連続で達成しています。
この上昇の背景には、制度化された投資プロダクトへの資金流入が存在します。5月から6月にかけて、米国市場では21シェアーズの「THYP」、ビットワイズの「BHYP」、グレースケールの「HYPG」という3本のHYPE現物ETFが相次いで取引を開始しました。これらのETFには8週間で累計3億870万ドルの純流入があり、2026年に登場したアルトコインETFの中で最大の立ち上がりとなっています。
特に「BHYP」と「HYPG」はステーキング機能を組み込んだ構造となっており、ネットワークの発行報酬をファンド構造に取り込む設計がなされています。暗号資産市場全体が下落する中での資金流入について、レポートでは個別プロトコルの収益構造に対する市場の評価が反映された結果であると分析されています。
基軸資産のUSDC移行とエコシステムの収益構造
エコシステム内部の重要な決定として、独自ステーブルコイン「USDH」の運用終了と、USDCへの基軸資産移行が挙げられます。5月の終了発表後、6月には検証者(保有ステークの69.1%)の賛成を経て、新たな基軸資産としてUSDCを採用する提案「AQAv2」が可決されました。
この移行に伴い、スマートコントラクトを実行するプラットフォームであるHyperEVM(EVM互換環境とされています)上のステーブルコイン残高は、四半期中に4倍となる56億ドルへ拡大しました。プラットフォーム上のUSDCが発生させる利回りの約90%は、トークンの買い戻しを担う「アシスタンスファンド」へ30日ごとに配分される仕組みとなっており、年間換算で1億3,500万ドルから2億ドルの追加収益がもたらされると推計されています。利回りの初回配分は10月3日に予定されています。
プロトコルの収益面では、累計の保有者収益が6月30日時点で10億ドルを達成しました。株式の自社株買いに相当する買い戻しを行うアシスタンスファンドは、同四半期中に277万HYPE(約1億4,066万ドル相当)を購入しており、ファンドが保有する総数は4,556万HYPEに達しています。
ポイント
- ビットコインが前四半期比14.1%下落するなか、HYPEは79.2%高となり2四半期連続で独自の上昇トレンド(独歩高)を示した点 [1]
- 米国で上場した現物ETF 3本に8週間で3億870万ドルの流入があり、アルトコインETFとして2026年最大規模の立ち上がりとなった点 [1]
- 独自ステーブルコインを終了してUSDCへ移行したことで、HyperEVM上のステーブルコイン残高が56億ドルに急拡大した点 [1]
- プラットフォーム上のUSDC利回りをアシスタンスファンドへ配分し、トークン買い戻しを通じた保有者還元を強化している点 [1]