トランプ米大統領は米政治専門メディアの取材に応じ、暗号資産(仮想通貨)分野において中国などの海外勢に主導権を渡さない姿勢を明確にしました。同氏は仮想通貨を人工知能(AI)と並ぶ重要な戦略分野と位置付け、国家としての優位性維持を訴えています。一方で、米国市場の規制枠組みを定めるクラリティー法案の上院採決は9月へ延期されることとなり、法規制の整備と政治的調整の行方が業界関係者の注目を集めています。
仮想通貨とAIを国家戦略と位置付け 対中国の主導権維持を強調
トランプ大統領は米政治専門メディア「パンチボウル・ニュース」のインタビューにおいて、中国をはじめとする諸国と仮想通貨分野の首位を争っていると指摘し、米国が主導権を維持する必要性を強調しました。同氏は「中国に仮想通貨を奪われたくない」と述べ、AIと並ぶ戦略分野として両領域での世界一維持を求めています。
また、現金に代わる手段としてビットコインの普及が進むことで、ドルへの依存圧力を和らげているとの見解を示しました。トランプ氏は2025年11月のアメリカ・ビジネス・フォーラムや、2026年7月の米CNBC番組でも同様の発言を行っており、仮想通貨分野での主導権喪失がドルへの悪影響を招くリスクや、米国が「仮想通貨超大国」を目指すべきだという主張を一貫して展開しています。
クラリティー法案の採決は9月へ延期 倫理条項をめぐる与野党の対立
米上院で審議中の仮想通貨市場構造法案「クラリティー法案」(証券取引委員会と商品先物取引委員会の管轄整理などを目指す包括的法案とされています)については、上院共和党が採決を9月へ持ち越す方針を決定しました。米上院は8日を境に夏季休会に入り、9月14日の会期再開まで法案審議は停止する見通しです。
採決の可決には上院で60票が必要ですが、共和党の持ち議席は53議席にとどまるため、民主党側から最低7票の賛成を得る必要があります。現在、与野党間では以下の3点が主な対立軸となっています。
- 政治家やその家族を対象とした倫理規定
- 資金洗浄(マネーロンダリング)対策
- ステーブルコイン(法定通貨等と価値が連動する暗号資産)への利回り付与
法案に含まれる倫理条項について、トランプ大統領は家族による仮想通貨事業への関与を制限する内容が自身を狙い撃ちにしているとの認識を示しました。一方で、資産をブラインドトラスト(資産運用を受託者に完全に委ねる仕組み)に移すこと自体には異論がないとし、自身の子どもたちは政府の職務とは無関係に独立して事業を運営していると説明しています。なお、提出された倫理条項の適用により、資産売却時の税負担を延期できる可能性も指摘されています。
ポイント
- トランプ大統領が仮想通貨とAIを国家の戦略分野と位置付け、中国に対して優位性を維持する重要性を主張しました。
- ビットコインの利用拡大が現金に代わる決済手段として広がり、ドルへの依存圧力を緩和するという認識が示されました。
- 米暗号資産市場の規制枠組みを定める「クラリティー法案」の上院採決は、夏季休会のため9月中旬以降へと持ち越されました。
- 法案成立には民主党からの賛成票が不可欠であり、倫理規定や資金洗浄対策、ステーブルコインの利回り規定が難航する主な要因となっています。
- トランプ大統領は家族の事業を制限する倫理条項に異議を唱えつつも、資産のブラインドトラスト移行には肯定的な姿勢を見せています。