ビットコインのハードフォーク「eCash」が8月23日より3段階で開始へ|取引所対応とBIP-110の動向

ビットコインのハードフォークプロジェクト「eCash」は、当初予定されていた一括での切り替え方針を変更し、2026年8月23日より3段階に分けて展開されることが決定しました。フォーク時点でビットコインを保有するユーザーには新チェーン上で同数のeCashが付与される予定であり、国内暗号資産取引所のGMOコインは取引や預入・送付の一時停止の可能性を案内しています。また、ビットコインネットワークでは取引データ量を制限するソフトフォーク提案「BIP-110」の議論も並行して進んでいますが、大手マイニングプールの支持が得られず導入は難航しています。

eCashハードフォークの3段階移行計画と技術的背景

ドライブチェーン(BIP-300/301)の提唱者であり、レイヤーツー・ラボの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)を務めるポール・シュトルク氏は、8月23日に予定していたビットコインのハードフォーク「eCash」の移行方法を変更し、3段階で実施することを明らかにしました。

シュトルク氏は長年、既存のビットコインコアにドライブチェーンの仕組みを組み込む提案を行ってきましたが、開発者コミュニティの支持を得られなかったため、自ら新たなブロックチェーンを立ち上げて初日からドライブチェーンを実装する方針を選択しました。ドライブチェーンとは、ビットコインのマイナーが担保する形で運営されるサイドチェーン(メインのブロックチェーンと並行して動作する別のチェーン)であり、ビットコイン本体のルールを変更することなく、プライバシー保護機能や予測市場、資産発行、本人確認用途などを追加することを目的としています。

今回の移行計画では、以下の3つのフェーズが設定されています。

  • アルファ段階:ブロック高963,648(8月23日開始)
  • ベータ段階:ブロック高967,680(9月20日移行)
  • 完全版段階:ブロック高973,728(10月31日実施)

アルファおよびベータ期間に配布される「練習用」のeCashは、コインを焼却(バーン)することで、10月31日の完全版リリース時に本物のeCashと交換できる仕組みとなっています。シュトルク氏は、段階的に移行することで早期参加者への恩恵を維持できるほか、初期の想定価格を見積もりやすくなる利点があると説明しています。

取引所の対応と関連するソフトフォーク提案「BIP-110」の現状

eCashの実施に伴い、国内暗号資産取引所のGMOコインは8月7日に第一報を発表しました。ブロック高963,648(日本時間8月23日0時ごろ)のフォーク発生に伴い、現物取引や暗号資産FX、ビットコインの預入・送付を一時停止する可能性があると案内しています。ハードフォーク時には預かり資産に応じた新コインの付与や上場の是非を検討する必要が生じるため、確認作業が完了するまで関連取引を一時停止する措置が取られると見られます。

一方で、ビットコインネットワークではeCashとは独立した別の議論として「BIP-110」と呼ばれるソフトフォーク提案も進行しています。匿名開発者のダソン・オム氏がルーク・ダッシュジュニア氏の助言を受けて提案したこの仕様は、オーディナルズ(Ordinals)などのデータ埋め込み用途を1年間限定で制限することを目的としています。

BIP-110に対しては、米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長が「ルールは失効しても前例は残る」として中立的なルール維持の観点から反対を表明しています。BIP-110の早期ロックインには55パーセントのマイナー署名率が必要ですが、署名率は2から3パーセント程度にとどまっており、大手マイニングプールが署名していないため多数派チェーンでの発動は困難な情勢とされています。なお、eCashとBIP-110は独立した提案であり、互いの成否に技術的な影響を及ぼさないとされています。

ポイント

  • ビットコインのハードフォーク「eCash」が8月23日よりアルファ、ベータ、完全版の3段階に分けて実施されます。
  • ドライブチェーン機能を初期実装する新チェーンであり、ビットコイン保有者には同数のeCashが付与される予定です。
  • GMOコインをはじめとする取引所では、8月23日ごろのフォーク発生に伴い関連サービスが一時停止される可能性があります。
  • データ埋め込みを制限するソフトフォーク提案「BIP-110」も並行して議論されていますが、マイナーの支持率は低迷しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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