仏規制当局ANJがポリマーケットへのアクセス遮断を命令。気象センサー改ざん疑いで計約3万5,000ドルの利益が発生

分散型予測市場プラットフォームのポリマーケットにおいて、パリの気温を対象とする契約で単一の観測センサーが物理的に改ざんされた疑いが生じ、トレーダーが計約3万5,000ドルの利益を得る事態が発生しました。これを受けてフランス国家賭博局(ANJ)は2026年7月、無許可賭博の宣伝や市場操作リスクを理由に国内接続事業者へアクセス遮断を命じました。米国土安全保障省(DHS)元政策顧問のマシュー・ワイン氏は、現実世界の設備依存や市場ルールの抜け穴といった脆弱性を悪用前に発見するため、予測市場におけるバグ報奨金制度の導入を提言しています。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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単一の物理センサー依存を突いた操作疑惑と規制当局の介入

2026年4月、ポリマーケットではパリの1日の最高気温を対象とした取引が行われていました。この市場では結果判定を行うオラクル(勝者を決めるための確定的なデータソース)として、メテオ・フランスが運用するシャルル・ド・ゴール空港観測所のデータを掲載するウェザー・アンダーグラウンドのページが指定されていました。

4月6日、周辺気温が18度前後である中で新規アカウントなどが的中確率の極めて低い契約を購入した後、同空港の温度計のみが12分間で約4度急上昇し、21度を記録しました。これにより、あるアカウントは30ドル未満の投資で1万3,990ドルの利益を得たとされています。さらに4月15日にも同様の手法で購入が行われた直後にセンサーが局所的に22度まで上昇し、別のアカウントが2万1,398ドルの利益を得ました。

他の観測所では同様の急上昇が記録されていなかったことから、何者かがセンサーに近づいてドライヤーやライターなどで熱を加えた可能性が指摘されています。メテオ・フランスは妨害・改変の疑いで警察に告訴し、パリ検察のサイバー犯罪部門などが捜査を進めています。ポリマーケットは契約を取り消さず支払済みの利益も回収していませんが、判定に用いる情報源をパリ・ル・ブルジェ観測所へ変更しました。また、フランス国家賭博局(ANJ)は2026年7月、今回の改ざん疑惑を含む市場操作リスクや無許可賭博の宣伝を理由に、ポリマーケットへのアクセス遮断を命令しました。

予測市場の脆弱性対策としてのバグ報奨金制度

元米DHS政策顧問のマシュー・ワイン氏は、予測市場が抱える脆弱性に対して体系的な対策が必要であると指摘しています。予測市場ではオラクル自体の改ざんだけでなく、プラットフォームの仕組みの悪用や、現実世界の設備への依存、曖昧な契約ルールなどが重大な脆弱性になり得ると分析しています。

同氏は、独立した研究者が弱点を発見した際に報酬を支払うバグ報奨金制度の導入を提案しています。研究者の探究心を活用して外部のレッドチームとして機能させることで、悪意ある利用者に悪用される前に物理的設備や運用上の欠陥を修正できる防御層を構築できるとしています。

ポイント

  • ポリマーケットの気温予測市場において、単一の気象観測センサーに熱を加えて数値を急上昇させた疑いにより、トレーダーが計約3万5,000ドルの利益を得た点
  • プラットフォーム側は清算結果を取り消さなかったものの、データ取得元を別の観測所へ変更した点
  • フランスの賭博規制当局が、市場操作リスクなどを理由にプラットフォームへのアクセス遮断を命じる事態に発展した点
  • 予測市場が依存する現実世界の設備やルール上の弱点を悪用前に発見する手段として、元米DHS顧問がバグ報奨金制度の導入を提言した点
ブロックチェーン総研Blockchain Research Institute
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