デジタル資産スタディ・グループが産業構造に関する最終版ペーパーを公開。金商法移行に伴う業界再編への提言と2027年版制作を進める方針

アカデミアや実務家の有志で構成される「デジタル資産の在るべき産業構造スタディ・グループ」は、2026年8月24日に「デジタル資産の在るべき産業構造 ディスカッション・ペーパー 2026年最終版」を公開しました。本ペーパーは、2026年に成立した暗号資産規制の金融商品取引法(金商法)移行を踏まえ、市場や規制の現状分析に基づいた将来の産業構造や課題を提示しています。交換業者やDeFi(分散型金融)、TradFi(伝統的金融)の収益構造変化や新たな金融インフラの可能性を整理しており、今後の制度設計や実務の指針となる議論として注目されます。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

金商法移行に伴う事業環境と収益構造の再編

2026年に暗号資産の規制枠組みを資金決済法から金融商品取引法へと移行する改正法が成立したことを受け、業界は制度の大きな転換期を迎えています。この移行に伴い、情報開示の強化やインサイダー取引規制の導入、新たな体制や業務の追加が求められることになります。

本ペーパーでは、法制度の変容が暗号資産交換業者、ウォレット事業者、DeFi、伝統的金融機関のそれぞれに及ぼす影響と、移行後に生じる収益構造の変化を体系的に整理しています。これにより、規制の変更が産業地図をどのように塗り替えるかについて多角的な分析が行われています。

伝統的金融との接続と日本市場に向けた産業構造の提言

本ペーパーでは暗号資産を主な検討対象としつつ、新たな金融・市場インフラの可能性と論点が整理されています。伝統的金融業の発展経路との対比を通じて、CEX(中央集権型取引所)とDeFiの相互補完関係や、分散型金融がもたらす新たな投資家および投資先のあり方が展望されています。

さらに、グローバル競争が激化するなかで日本が目指すべき市場構造や政策・産業戦略についての提言も行われています。具体的には、機能分離と共有インフラの構築、ローカル・インターナショナル・グローバルという三層の変容を踏まえ、健全かつ持続可能な産業構造の実現に向けた仮説と課題が示されています。

産官学の有志による制作体制と今後の計画

本ペーパーは、金融審議会「暗号資産ワーキング・グループ」のメンバーを務めた上智大学の森下哲朗教授やジョージタウン大学の松尾真一郎研究教授らが指揮をとり、法律、VC、シンクタンク、信託銀行などの実務家・研究者の有志によって執筆・監修されました。2026年6月に公開された中間版へのフィードバックを踏まえて改訂された集大成となっています。

スタディ・グループでは、本最終版を土台として2027年版ペーパーの制作や特定テーマに絞ったスピンアウトバージョンの検討を進める予定です。また、今後はステーブルコインやセキュリティトークン(ST)へと視野を広げ、2.0版などの作成を通じて内容の更新を継続して行う方針です。

ポイント

  • 2026年の金商法改正法成立に伴い、暗号資産規制の移行による情報開示強化やインサイダー取引規制の導入など、産業構造の再編を整理した最終版ペーパーが公開されました。
  • 交換業者、ウォレット事業者、DeFi、伝統的金融への影響や収益構造の変化を体系化し、CEXとDeFiの相互補完関係や新インフラの論点を分析しています。
  • 上智大学の森下教授やジョージタウン大学の松尾教授ら産官学の有志が執筆・監修を担当し、業界の教科書となる議論の提示を目指しています。
  • 日本が目指すべき産業戦略として機能分離や共有インフラの構築を提言しており、今後の制度設計や実務の発展に寄与する点で注目されます。
  • スタディ・グループは今後、ステーブルコインやセキュリティトークンへの視野拡大や2027年版ペーパーの制作を進める方針です。
ブロックチェーン総研Blockchain Research Institute
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