クラーケンが制裁対象HTXのウォレットからダスト攻撃を受け。計12,000件の送金に伴い顧客口座の復旧と資金凍結を進める方針

暗号資産取引所のクラーケンは、制裁対象であるHTX(旧フォビ)のウォレットから少額の資金が送金されたことにより、複数の顧客アカウントが凍結されたことを明らかにしました。ブロックチェーン分析企業のアーカム・インテリジェンスによると、今月中にクラーケン関連アドレスへ計12,000件の送金が実施されていたとされています。クラーケンは、制裁対象資金の流入によってコンプライアンスシステムを自動発動させ、業務混乱や業界の信用失墜を狙った攻撃とみて対応を進めています。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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コンプライアンスシステムを狙ったダスト攻撃の手口

ダスト攻撃とは、通常は多数のウォレットアドレスに少額の暗号資産を送りつけ、受取人が気付かずに使用した際の資金の流れを追跡して身元特定を行う攻撃手法を指します。

今回の事案では、制裁対象となっている資金を意図的に送りつけることで、クラーケンのコンプライアンスシステムを自動的に発動させ、資金を受け取った顧客アカウントの凍結と業務の混乱を引き起こすことが狙われたとみられています。クラーケンは、英国やEUの制裁対象資金をプラットフォームに拡散させ、業界全体の信用を失墜させる試みのように見受けられるとコメントしています。

アーカム・インテリジェンスの報告によると、当該送金元はHTXが準備金証明の一環として公開しているアドレス情報と一致しており、計12,000件の送金が確認されました。これに対しHTX側は自社からの送金を否定しており、送金元の特定ミスや第三者による悪意ある行為などが原因として考えられるとして調査を行っています。現在クラーケンは、影響を受けた顧客アカウントへのアクセスを復旧させながら、規定に従って制裁対象資金の凍結を実施しています。

HTXを巡る制裁環境と取引所への影響

送金元と指摘されたHTXは、ロシア関連の理由により欧州連合(EU)の制裁リストへ追加された取引所です。英国政府は、HTXがロシア政府の戦略的重要分野で事業を営む企業にサービスを提供し、同国政府を支援していると疑う合理的な根拠があると言及していました。

EU理事会が採択した対ロシア制裁の第21次パッケージに基づき、EU内の個人および企業は8月23日以降、HTXなどの制裁対象プラットフォームとの入出金や取引、送金が原則として禁止されています。これに伴い、大手取引所のバイナンスもHTXを取引制限対象の相手方リストに組み入れるなどの対応を進めています。今回の事案は、厳格化する国際的な制裁規制を悪用し、中央集権型取引所の自動コンプライアンス体制を標的にした新たなリスクとして浮き彫りになりました。

ポイント

  • 制裁対象であるHTXのウォレットからクラーケン関連アドレスへ計12,000件の少額送金が行われました。
  • 制裁対象資金の流入によってコンプライアンスシステムが作動し、複数の顧客アカウントが一時凍結されました。
  • クラーケンは顧客口座のアクセス復旧を進めつつ、規定に基づいて制裁対象資金を凍結する方針をとっています。
  • HTX側は自社による送金を否定し、アドレスの特定ミスや第三者による悪意ある行為の可能性を調査しています。
  • 国際制裁の強化を背景に、コンプライアンスシステムの自動検知を逆手に取った妨害工作がプラットフォーム運営に与える影響の大きさという点で注目されます。
ブロックチェーン総研Blockchain Research Institute
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