TISIとUPDATERがブロックチェーン活用の再エネ照合機能をエネLinkへ実装開始。2026年12月にSaaS提供を目指す方針

TISインテックグループのTISIと、脱炭素事業「みんな電力」を運営するUPDATERは、ブロックチェーン技術を活用したアワリーマッチング対応機能の実装を開始しました。電力小売事業者向けソリューション「エネLink」に組み込まれ、再生可能エネルギーの発電量と使用量を30分単位で照合し、1時間単位での環境価値の追跡・証明を可能にします。両社は2026年12月のSaaS型サービス提供開始を目指しており、温室効果ガス排出量算定に関する国際基準の改定を見据えた取り組みとなります。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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ブロックチェーンによるアワリーマッチングの仕組みと提供形態

今回実装される機能は、需要家が電力を使用した時間帯と再エネ電源が発電した時間帯を1時間単位で一致させる「アワリーマッチング」に対応するものです。従来の年間単位で照合する方法に比べて時間粒度が細かく、再エネ利用における透明性を高められるとされています。

システム面では、UPDATERの電力トラッキングシステムが持つマッチングロジックとブロックチェーン技術が活用されます。発電量と電力使用量を30分単位で照合・管理する仕組みとなっており、グラニュラー証書(時間単位の発電情報を証明する証書)の国際標準策定を行う非営利団体「エナジータグ(EnergyTag)」の要件を踏まえた技術検証を経て実現されました。

本機能は、電力小売事業者の既存CIS(顧客管理・料金計算システム)から独立したSaaS型サービスとして提供されるため、大規模なシステム改修を抑えて導入できる設計となっています。また、エネLinkシリーズの「コーポレートPPA料金計算サービス」と組み合わせることで、発電量・使用量の管理から料金計算、ポータルサイトや請求書を通じた実績提示までの一括提供が可能になります。

国際基準の改定動向と両社の事業展開

取り組みの背景には、企業の温室効果ガス排出量算定・報告に関する国際基準「GHGプロトコル」におけるScope 2(購入・使用する電力などに伴う間接排出)の算定ルール改定があります。2025年に公開された改定案では、時間単位のマッチングや地域性を考慮する要件が提示されました。さらにGHGプロトコルと国際標準化機構(ISO)による基準統合も進められており、統合基準の公開協議は2027年第2四半期、最終公表は2028年第4四半期に予定されています。

TISIの「エネLink」は電力CISとして30社への導入実績を持ちます。一方のUPDATERは2018年にブロックチェーンを活用した電力トラッキングシステムを商用化し、現在は600カ所以上の再エネ発電所と4,000カ所以上の需要施設を対象に運用しています。UPDATERは2022年に電力トラッキングシステム「ENECTION2.0」の基盤としてソラナ(Solana)の採用を発表していますが、今回エネLinkに実装される機能が利用するブロックチェーンの名称は明らかにされていません。両社は2021年11月の資本業務提携以降に連携を検討しており、UPDATERは外販拡大を通じて2027年度までに電力トラッキングシステムの導入企業20社を目指す方針です。

ポイント

  • 再エネの発電と使用を30分単位で照合し、1時間単位で環境価値を追跡・証明するアワリーマッチング機能をブロックチェーン技術で実現する点で注目されます。
  • GHGプロトコルのScope 2改定案やISOとの基準統合といった国際的な排出量算定ルールの厳格化に対応する基盤となります。
  • 既存CISから独立したSaaS型で提供されるため、電力小売事業者が大規模な改修を行わずに導入できる利便性を備えています。
  • 2021年に資本業務提携した両社の強みを統合し、2026年12月のサービス提供開始および2027年度までの導入拡大を目指しています。
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