レイヤー1ブロックチェーン「Sui」の開発元であるMysten Labsの共同創業者コスタス・チャルキアス氏が、金融機関向けの新たな取引インフラ構想「Havenex」を発表しました。Havenexは、金融機関が自社の顧客に対してデジタル資産や伝統的金融資産を提供するためのホワイトラベル型プラットフォームです。取引の清算などにSuiの分散型注文板「DeepBook」を活用し、規制当局の認可取得と高いセキュリティ基準を満たすことで、機関投資家水準の透明性と安全性の両立を目指しています。
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機関投資家向けに特化したホワイトラベル型インフラの構築
Havenexは、一般的な個人ユーザー向けの暗号資産取引所を新設するのではなく、金融機関が自社サービスとしてデジタル資産や伝統的金融資産を扱うための取引インフラとして開発されています。金融機関は単一の接続を行うことで、自社ブランドを維持したままカストディ(保管)、取引、ブローカレッジなどの機能を顧客に提供できる仕組みです。
発案者であるチャルキアス氏は、FTXやマウントゴックスで起きた問題を事業の代償として受け入れ続けることはできないと指摘しており、資産の所有権や透明性、セキュリティを損なうことなく規制に適合できる環境の構築を掲げています。同プロジェクトは規制当局からの認可取得を前提としており、現在はオーストリア金融市場機構(FMA)への認可手続きを進めています。必要な認可を取得するまでは規制対象サービスを提供しない方針です。また、プロジェクトはシリーズAの資金調達を進めており、まもなく完了する予定とされています。
Suiの分散型注文板技術の活用とマルチチェーン展開
Havenexは将来的にライセンスを取得した中央集権型取引所(CEX)の形態をとる計画ですが、取引処理の一部にはSuiのブロックチェーン技術が利用されます。Mysten Labs共同創業者であるアデニイ・アビオドゥン氏によると、Sui上に構築された中央指値注文板(買い手と売り手の希望価格や数量を注文板で一致させて成立させる仕組み)である「DeepBook」を取引の清算に利用する方針です。
あわせて、Googleなどの既存ウェブサービスの認証情報を利用して秘密鍵の管理負担を軽減する技術「zkLogin」や、耐量子暗号アルゴリズム、継続的かつ検証可能な支払い能力の証明(事業者が顧客資産に対する債務を履行できるかを検証する仕組み)の導入も計画されています。セキュリティ面ではマルチシグ(複数の鍵による承認)を標準採用し、セルフカストディや秘密鍵の紛失に備える仕組みも用意されます。さらに、規制の範囲内で現実資産をブロックチェーン上で扱うRWA(現実資産)や機密性を備えた資産の取り扱いを予定しているほか、特定のチェーンに依存しないマルチチェーン型の統合を行う方針です。
ポイント
- 金融機関が自社ブランドを維持したままデジタル資産や伝統的金融資産の取引・保管機能を提供できるホワイトラベル型基盤である点
- 中央集権型取引所(CEX)としての認可取得を目指しながら、取引清算にSuiの分散型注文板「DeepBook」を活用する設計である点
- オーストリア金融市場機構(FMA)の認可申請など、規制準拠を前提としてサービス開始を進めている点
- 継続的で検証可能な支払い能力の証明や耐量子暗号、zkLoginなどを導入し、透明性と安全性の向上を図っている点