米暗号資産運用会社のグレースケールは、保有するライトコイン信託(LTCN)を上場投資信託(ETF)へ転換するため、米証券取引委員会(SEC)に登録届出書(Form S-3)の修正版を提出しました。同信託の株式は現在、私募形式で発行されOTCマーケッツで取引されていますが、償還プログラムが運用されていないため株式需給を一致させる裁定メカニズムが機能せず、市場価格が純資産価値(NAV)に対してディスカウントされる状態が続いています。ライトコイン価格の下落を受けて信託純資産が1年間で約1億7,590万ドルから約8,230万ドルへ半減する中、ETF転換を通じた取引環境の是正を目指す動きとして注目されます。
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ETF転換申請の経緯と承認審査の現状

グレースケールは11日、ライトコイン信託をETFへ転換するためのForm S-3修正版(Amendment No.1)をSECへ提出しました。承認および上場が実現した場合、信託名は「Grayscale Litecoin Trust ETF」に変更され、NYSE Arca市場への上場が予定されています。同社は2025年9月にも同様の申請書を提出していましたが、SECは効力を認めておらず、今回は財務データを更新した内容となっています。カストディアン(資産の保管・管理を担う事業者)には、引き続きコインベース・カストディ・トラストが指定されています。
NYSE Arcaは2025年1月24日に上場に向けたルール変更申請(19b-4)を提出していましたが、SECが新たな上場基準(ジェネリック・リスティング・スタンダード)を導入したことにより、当初の審査期限は事実上意味をなさない状態となっており、2026年9月時点でも正式な結論は下されていません。なお、ブルームバーグのアナリストは2025年9月末時点で、この新上場基準を根拠に承認の可能性を「実質100%」と指摘していました。また、今回の修正提出に対し、ライトコインの公式Xアカウントは9月13日に短く反応を示しています。
資産規模の縮小とディスカウントの解消課題
基礎資産であるライトコインの価格下落を背景に、同信託の運用規模は大幅に縮小しています。純資産総額(NAV)は2025年6月末時点の約1億7,590万ドルから、2026年6月末時点には約8,230万ドル(約126億円)へと目減りしました。これに伴い、1株あたりのNAVも約7.25ドルから約3.39ドルへと低下しています。
さらに、流通市場での株価乖離も課題となっています。LTCNの株価は9月9日の終値時点で4.01ドルとなり、NAVに対して8%のディスカウント(純資産価値を下回る水準)で取引されました。現行の信託形態では償還プログラムが運用されておらず、株式の需給を一致させる裁定取引(アービトラージ)が働かない構造が続いており、ETFへの転換によってこれらの課題を解決できるかが焦点となります。
先行する競合アルトコインETF市場の動向
ライトコインの現物ETF市場において、グレースケールは後発の立場となります。キャナリー・キャピタルが手掛けるライトコインETF「LTCC」は、先行していたXRPやドージコインの現物ETFに続く形で、2025年10月28日にすでに上場を果たしています。
暗号資産市場ではすでにXRPやソラナの現物ETFも稼働しており、アルトコインを対象としたETFの組成が進んでいます。一方で、ビットワイズのドージコインETFのように、2025年11月25日に上場承認を取得したものの2026年9月に運用を終了した事例も見られます。先行商品がすでに存在する市場環境において、グレースケールによる転換が承認されるかどうかが注目されます。
ポイント
- グレースケールがライトコイン信託(LTCN)をETFへ転換するため、財務データを更新した修正申請書(Form S-3)をSECへ提出した点。
- 基礎資産の価格下落に伴い、信託の純資産総額(NAV)が2025年6月末の約1億7,590万ドルから2026年6月末には約8,230万ドルへと1年間で半減している点。
- 償還プログラムが存在せず裁定取引が働かないため、市場株価がNAVに対して8%のディスカウントで取引されており、ETF転換による構造改善が期待される点。
- キャナリー・キャピタルの「LTCC」が2025年10月に上場を完了しており、グレースケールは先行者ではなく後発として市場に参入する形となる点。