Web3(ウェブスリー)とは、「分散型のインターネット」として注目されている次世代のインターネットの形です。
「昨今Web3という言葉をよく耳にするけど、なんだかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、初心者の方にWeb3が一体どういうものかを解説するとともに、従来のインターネットとの違いやWeb3のメリット、実際の活用事例など、Web3について分かりやすく解説していきます。
Web3とは?
Web3は「次世代のインターネット」として認識され、中央集権型の今のインターネットサービスとは異なる、分散型のアプローチを持っています。
分散型台帳技術であるブロックチェーンを基盤としており、DeFi、NT/NFT、DAO、DIDのような分散型アプリケーションを構築することができます。
現在、私たちがよく利用するGoogleやYouTubeなどのサービスは中央の管理者がルールを定めて運営しており、そのルールに反すると利用制限がかかることがあります。
しかし、Web3.0はブロックチェーン技術を基盤とし、中央の管理者なしでユーザー間で情報のやりとりや取引ができるようデザインされています。
この革新的なアイディアは、イギリスのコンピューター科学者ギャビン・ウッド氏によって提案されました。
彼はまた、この新しいインターネットの実現のために「Web3Foundation」という非営利組織を設立し、Polkadotなどのブロックチェーンプロジェクトの開発を推進しています。
Web3の特徴・メリット
Web3の特徴4つを以下に解説します。
セキュリティの向上をもたらす
Web3のもたらすセキュリティの進化は、個人データの流出リスクを大幅に軽減します。
従来のWeb2.0システムでは、大手プラットフォームが集中的にデータを管理しており、サイバー攻撃の際のリスクが高まっていました。
一方、Web3では、ブロックチェーンを活用して情報を複数のコンピューターに分散保管するため、データの不正利用や漏洩が大幅に難しくなっています。
さらに、この新しいシステムでは、メールアドレスやパスワードを使わずに安心してサービスを享受することが可能です。
グローバル化が促進される
Web3のDAppsは、国や文化の枠を超えてアクセスできるツールで、これを使用することで、誰もが国際的なサービスに自由に参加できます。
さらに、匿名性を持ちながら利用できるため、特定の企業や政府による制約を受けにくいという利点も持っています。
通信においての仲介が不要になる
Web3の進化により、従来のWeb2.0時代において必要だった中央サーバーを経由する方法から脱却し、P2P(ピア・ツー・ピア)技術を活用して端末間で直接通信が行えるようになりました。
言論の自由が実現される
多くの人がTwitterやYouTubeなどでアカウントの停止やコメント欄の閉鎖を目撃しており、これが企業による発言の制限とみなされる場合があります。
Web3はP2P通信を取り入れ、言論の自由をさらに保護する可能性が高まっています。
それにより、情報の信頼性やプライバシーが向上する一方で、受け手としての警戒心も求められる時代となります。
Web3が注目されている理由
なぜ、近年Web3が注目を浴びているのでしょうか?以下に解説します。
個人情報の管理
近年、FacebookやGoogleなどの大手企業が個人情報の不正収集で訴訟に直面する中、プライバシーへの懸念が増加しています。
Web2.0の時代には、多くの人々が無料のサービス利用と引き換えに自らの個人情報を提供していましたが、情報の漏洩や悪用に対する恐怖から、そのような情報提供に慎重になってきています。
これに対し、Web3の環境では、仮想通貨ウォレットを利用して、多くのサービスを匿名で享受することが可能になり、ユーザーのプライバシーが保護されることが期待されています。
暗号通貨の普及
仮想通貨の増加はWeb3の普及に大きく寄与しています。
全体の時価総額が2014年の1兆円から2021年末には250兆円に跳ね上がるなど、仮想通貨への関心が急速に高まっていることがCoinMarketCapのデータからも確認できます。
このような背景から、仮想通貨がさらに日常に根付くと、Web3.0サービスの利用も広がる可能性が高いです。
発達したブロックチェーン技術
Web3の台頭の背後には、ブロックチェーン技術の進化があります。
ブロックチェーンは、取引履歴を連鎖的に管理することでデータのセキュリティを向上させる技術として知られ、この分散管理方式によって、従来の中央集中型のシステムの弱点を克服しています。
この技術は、情報の透明性を保ちながら安全性を確保するための基盤として、仮想通貨やNFTの普及にも寄与しています。
Web3に関連する技術・サービス
ここからは、Web3に関連する技術・サービスを紹介します。
仮想通貨/暗号資産(コイン・トークン)
仮想通貨(暗号資産)は、ブロックチェーンをベースにしたデジタル通貨であり、法定通貨のような財産的価値を有しています。
中央銀行や政府などの中央機関によって発行される通貨ではなく、非中央集権的に仲介者がいないシステムで取引が行われます。
ブロックチェーン(分散型台帳)技術により、取引履歴を不正・改ざんできない仕組みとなっており、信頼性のある形で情報・データを保存することが出来ます。
Web3の進展は、大手プラットフォーム企業の中心的な役割を変え、金融から地方活性化まで多くの領域での革新や大きな課題の解決をもたらす可能性があり、デジタルの未来において重要なキーポイントとなるでしょう。
Web3やメタバースの普及とともに仮想通貨の取引が拡大していくと予想されます。
代表的な仮想通貨には、Bitcoin(ビットコイン)があります。
仮想通貨(暗号資産)について、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
NFT
NFT(Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン技術を用いてデジタルコンテンツの所有権を証明するトークンで、その権利は取引可能で長期的に保持できます。
ブロックチェーン上に記録された「画像・動画・音声」等のNFTデータは、複製が不可能な代替えができないトークンとして所有権/資産価値を証明することができます。
日本でも、デジタルアートを中心にNFTのプラットフォームが増加し、LINEをはじめとする企業がNFTマーケットプレイスを開始。
多様なジャンルでのNFT販売が行われており、エンターテインメント、スポーツ、ゲームなどの分野での取り組みが進められています。
NFTについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
NFTゲーム
NFTゲームとは、ブロックチェーン技術を基盤にしてつくられたゲームのことです。
ブロックチェーンゲーム、BCG、GameFiとも言います。
2020年から2021年にかけて、NFT市場は急速に拡大し、現在までに日本国内外で多くのNFTベースのゲームが登場しています。
NFTゲームは、分散型データベースやスマートコントラクトを利用することで、従来のゲームとは異なる新しいゲーム体験を可能にしています。
NFTゲームについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
ブロックチェーン(チェーン)
ブロックチェーンは、取引記録の改ざんを困難にする技術で、一度記録された情報は多数のノード(コンピュータ)で確認され、その大部分で変更しない限り改ざんができない仕組みになっています。
イーサリアムなどのブロックチェーンは、世界中に分散されたノードによって情報が確認・同期され、この技術の透明性と安全性は、新しいインターネットの概念、Web3.0の特徴として認識されています。
Web3.0は中央集権的なサーバーやプロバイダを使用せず、参加者自身がネットワークの維持に貢献し、その報酬として暗号通貨が用いられるシステムです。
このWeb3.0の中心的な概念の一つがDAOで、これはメンバー間の投票で運営が決まる分散型の組織であり、この中での意思決定にはガバナンストークンという特定の暗号通貨が関与しています。
ブロックチェーンについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
ウォレット
ウォレットとは、ブロックチェーン技術で構築された資産(仮想通貨/トークン/FT、NFT)を保有/保管することができる機能をもつデジタル上の財布のことです。
ウォレットについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
DAO
DAOとは、「分散型自律組織」(Decentralized Autonomous Organization)の略称で、中央の権限や管理者が存在しない、ブロックチェーン技術を利用した組織のことを指します。
スマートコントラクトと呼ばれる自動実行可能なプログラムを用いて、組織の運営や意思決定が行われています。
特定の暗号通貨を取得することで参加でき、それに基づく発言や投票権を獲得できます。
組織の運営ルールはブロックチェーン上のオープンソースコードとスマートコントラクトによって管理され、条件が揃った場合には自動的に契約が遂行される仕組みとなっています。
全ての決定は参加者全員によって行われるため、中央集権的な意思決定をなくし、より公平なシステムを実現することが可能だとされています。
DAOについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
DeFi
DeFiは、ブロックチェーン技術を基盤とした、個人/企業が中央機関を介さずに自由に資産を管理/運用することができる金融サービスのことです。
ブロックチェーン上で開発される様々な分散型金融アプリケーション、例えば暗号資産の取引、貸付や保険、デリバティブ取引、ステーブルコイン発行などで構成される金融サービスの総称、エコシステムを指します。
非中央集権で特定の組織によって管理されず、誰でも閲覧、検証可能な透明性の高いサービスを提供できるという特徴があります。
DeFiについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
メタバース
メタバースは3Dの仮想空間で、アバターを介してユーザーが交流や遊びを楽しめるデジタル世界を指します。
仮想のリアルタイム空間でのユーザー間の交流や日常生活を実現するコンセプトで、XR技術の向上やクラウド技術の普及、さらにはNFTを通じたデジタル資産の透明性の確保など、ブロックチェーンとの連携が強化されています。
この空間では、ユーザーコミュニティが中心となり、クリエイターが自由にコンテンツを作成でき、NFTやDAOとの組み合わせが注目されています。
アバターのアクセサリーや仮想の土地と家などのアイテムには実際の価値が存在し、取引されることもあります。
将来的に、ネットワークやVR技術の進化とともに、人々がインターネットに常時繋がる状態となる中で、Web3の分散技術は、メタバースのデータの独占や取引の透明性と安全性を保護する鍵となる可能性が高いです。
メタバースについて、もっと詳しく知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
Web3業界におけるマーケティングのやり方
Web3の登場によって、マーケティングの領域にも革命的な影響を与えることが予想されます。
従来の広告やプロモーションの方法だけでなく、DAOやDeFiなど、新しい顧客エンゲージメントの形が生まれるでしょう。
また、Web3はトークンエコノミーやNFTなど、新しい収益モデルの創出を促進します。
これにより、企業やブランドは消費者に対して新しい価値を提供し、よりパーソナルで意味のある経験を共有できるでしょう。
これらの点から、マーケターはWeb3の動向をしっかりとキャッチし、それに対応する戦略を練る必要があります。
Web3業界でのマーケティング手法について、より具体的に知りたい方は、Pacific Metaマガジンの以下記事をご覧ください。
Web3までの歴史・変遷
Web3までの変遷をWeb1.0から紹介します。
Web1.0
1990年代初頭、日本でインターネットの普及が始まり、1992年には最初のプロバイダが接続サービスを提供開始しました。
この初期段階は「Web1.0」と呼ばれ、主に一部の専門家や機関が情報を発信する形態であり、多くの人々は情報を受け取る側としての役割を果たしていました。
この時代のWebサイトは、テキストベースで簡素なものが多かったです。
Web2.0
21世紀初頭、日本ではビジネスや行政でのインターネット利用が拡大し、ネット銀行のサービスも開始されました。
この時代にSNSの台頭とともに、個人が情報を発信や交流を行う文化が根付きました。
特定の巨大企業、例えばGoogleやAmazonといった「プラットフォーマー」が中心となり、Web2.0の時代は「プラットフォーム経済」の特徴を持っていました。
しかし、これにはリスクも伴い、企業のサーバーへの攻撃やプラットフォームの利用規約違反が個人やクリエイターに大きな影響を与える可能性があります。
Web3の課題・デメリット
Web3とそれに伴うブロックチェーンや仮想通貨技術は、一般的なユーザーには取っつきにくい複雑さがあります。
加えて、これらの技術はまだ発展途上であり、そのインフラの未熟さからサービスの中断やバグの発生のリスクが伴います。
さらに、ブロックチェーン技術の一部は大量のエネルギーを使用するため、環境問題としての懸念も抱えています。
Web3に関するよくある質問
Web3に関するよくある質問を以下に紹介します。
Web3は誰が作ったのですか?
Web3のコンセプトは、イーサリアムの共同設立者、ギャビン・ウッドによって2014年に提唱されたものです。
彼はこれを「ブロックチェーンを基盤とした分散オンラインエコシステム」として定義しました。このアイディアは、2021年に大きな人気を獲得し、多くの暗号通貨愛好家やテック関連の著名人、企業が関心を持ち、投資を始めました。
一方で、ティム・バーナーズ=リーが1999年に提唱したセマンティック・ウェブとは異なる概念であるものの、Web3の中にはセマンティック・ウェブに関連する考え方も組み込まれています。
Web3とWeb2の違いは何ですか?
Web3とWeb2の主な違いは、その所有権と操作の中心性に関する哲学と技術の背後にある思考です。
Web2.0は主に中央集権的なプラットフォームやサービスに依存しており、ユーザーデータやコンテンツは企業によって管理・制御されています。
一方、Web3.0は分散型のアプローチを採用しており、ブロックチェーン技術を活用することで、ユーザーが自らのデータや資産の所有権を持ち、直接やり取りや取引を行える環境を目指しています。
Web3の基礎知識についてまとめ
ここまでWeb3についてお伝えしてきました。Web3の要点をまとめると以下の通りです。
- Web3は「次世代のインターネット」として中央集権型の今のインターネットサービスとは異なる、分散型のアプローチである
- Web3になるまでにWeb1、Web2のステップを踏んでいる
- Web3の特徴にはセキュリティの向上やグローバル化、言論の自由化などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。