米国の主要な暗号資産取引所であるコインベースが、中国本土の居住者に対して口座登録の要件を緩和したと報じられています。これまで必要とされていた書類が不要となり、中国の国民IDと本土の住所のみで本人確認が完了できるようになりました。中国政府による暗号資産取引の全面禁止措置が継続するなか、この動きは同社の国際展開における取り組みとして市場から注目されています。
登録手続きの簡略化と新たな要件
今回の変更は、アジアの暗号資産・ブロックチェーン専門メディアであるWu Blockchainがコインベースの担当者に確認した内容として報じられました。
従来、中国本土の居住者がコインベースでアカウントを作成する際には、中国のパスポートと香港の住所を提示することが必須とされており、登録の大きなハードルとなっていました。しかし新たなプロセスでは、中国の国民IDと中国本土の住所を利用して本人確認が完了できるようになりました。
SNS上では複数のユーザーから登録画面の変更が報告されており、中国語圏メディアのBlockBeatsが独自に登録を試みたところ、本人確認が約1分程度で完了したと伝えられています。
依然として不透明な取引再開と厳しい規制環境
登録手続きが簡略化された一方で、利用者が実際に取引や入出金を行えるかどうかは不透明な状況です。一部のユーザーからは、現時点で法定通貨の入金ができないとの報告が上がっています。コインベース側からは、登録を完了した利用者が実際にサービスを利用できるかについて、公式な説明は行われていません。
中国国内の規制環境に目を向けると、2021年に中国人民銀行をはじめとする複数の当局が暗号資産取引や関連する金融サービスの提供を全面的に禁止する通知を出しており、この規制は現在も維持されています。そのため、今回の登録要件の緩和がただちに中国本土での本格的な事業拡大を意味するものではないとの見方が大勢を占めています。
業界への影響と国際展開への期待
一連の報道を受けて、株式市場ではコインベースの株価(COIN)が上昇するなどの反応が見られました。市場関係者の間では、同社が香港やインドなど他地域でも規制対応を進めていることを踏まえ、今回の変更をグローバルな国際展開の一環とみる向きもあります。
しかし、公式発表がない現状では、中国本土における事業進出というよりも、口座開設の窓口を広げた限定的な措置にとどまるとの慎重な指摘もあります。
ポイント
- コインベースが中国本土ユーザーの登録要件を緩和し、中国国民IDと本土の住所での本人確認が可能になったと報じられました。
- 従来必要だった中国のパスポートや香港の住所の提示が不要となり、登録手続きが大幅に簡略化された点で注目されます。
- 中国政府による2021年の暗号資産取引全面禁止規制は依然として維持されており、現地での実際の取引や入出金の可否は不透明です。
- 一部のユーザーからは法定通貨の入金ができないとの報告もあり、コインベースからの公式な発表や説明は現時点でありません。
- 今回の変更はコインベースのグローバルな国際展開の一環として解釈され、報道後に同社の株価が上昇するなど市場に影響を与えた点で重要視されています。