分散型取引所(DEX)プロトコルのハイパーリキッドは、プロトコル規格「HIP-4」上で誰でも許可不要(パーミッションレス)で予測市場を作成・開始できる機能をテストネットで有効化しました。これにより開発者は、実際の資金を投入する前にテスト環境で決済や流動性、スマートコントラクトの設定などを検証できるようになります。ハイパーリキッドは独自のレイヤー1ブロックチェーン上で稼働する取引プラットフォームとされていますが、従来はバリデーター限定の許可制だった市場作成機能を広く一般に開放する狙いがあります。巨額の資金が流入する予測市場分野において、競合プラットフォームに対する優位性を高めるための重要な技術検証段階に入ったと見られます。
テストネットでの機能有効化と検証環境の整備
ハイパーリキッドは7月31日、プロトコル規格「HIP-4」において誰でも予測市場を展開できる機能をテストネット上で有効化したと発表しました。初期段階の実装では、ハイパーリキッドのバリデーターによって承認された個別の予測市場テンプレートが使用されます。
開発者はテストネットを活用することで、本番環境で資金を運用する前に、決済処理、流動性の供給状況、コントラクトの設定精度などを事前に検証することが可能です。現時点でメインネットでのローンチ時期は発表されていませんが、ハイパーリキッドは今後、手数料のカスタマイズ機能やテストネット用の市場テンプレートの拡充を段階的に進める予定としています。
許可制からパーミッションレス構造への拡張
ハイパーリキッドは5月に、ユーザーが各種イベントの結果に資金を投じることができる予測市場を立ち上げました。しかし当時の仕組みは、バリデーターのみが結果予測(アウトカム)市場を作成できる「許可制」にとどまっていました。
今回テストネットで展開された仕組みは、これを誰でも作成可能な「許可不要(パーミッションレス)型」へ変更するものです。メインネットで正式にローンチされた際には、50万HYPEのステーキングなどを条件として、開発者や一般ユーザーが自由に新しい予測市場を開設できるようになる見込みです。
予測市場における現在の立ち位置と取引規模
政治、経済、スポーツなどのイベント結果に賭けて取引を行う予測市場は、PolymarketやKalshiなどの既存の大手プラットフォームが市場を牽引しています。これらの先行プラットフォームと比較すると、ハイパーリキッドの予測市場における活動規模は現時点で限定的とされています。
Blockworksのデータによると、ハイパーリキッドHIP-4における建玉は18万2,000ドル、想定取引高は88万1,000ドルとなっています。これに対し、Kalshiは7月2日頃に約14億ドル(約2,200億円)の1日出来高を記録し、Polymarketも4月下旬に約6億ドル(約940億円)のピーク取引高を記録しています。
ただし、ハイパーリキッドの7月における取引ピークは、2026年FIFAワールドカップに関連するスポーツ分野が大部分を占めました。チェイナリシスのレポートによれば、2026年1月から大会終了までの期間において、予測市場全体で合計200億ドル(約3兆円)規模の巨額な取引が行われたとされており、予測市場分野全体の需要の大きさが示されています。
ポイント
- ハイパーリキッドが「HIP-4」プロトコル規格に基づき、誰でも予測市場を作成できるパーミッションレス機能をテストネットで有効化した点
- メインネットローンチ時には50万HYPEのステーキング等を条件に、誰でも予測市場を開設できるようになる見込みである点
- 開発者がメインネット展開前に、流動性や決済機能、コントラクト設定を安全にテストできる環境が整った点
- PolymarketやKalshiといった既存大手に比べると現時点の取引規模は限定的であるものの、拡大する予測市場分野での競合力を高めるアプローチとして注目される点