イーサリアム開発者が次期改修「Glamsterdam」の公開テストネット実装日を10月6日に暫定決定。開発網の不具合継続により2本目テストネットや本番日程は見送る方針

イーサリアムの開発者らは、次期アップグレード「Glamsterdam」について、公開テストネット「Sepolia」への実装日を10月6日に暫定設定しました。一方で、直近の開発者向けテストネット(devnet)ではファイナライズ(ブロックの確定)ができない問題や各種バグが相次いでおり、安定した開発環境が実現していない段階での決定となります。こうした技術的課題を踏まえ、2本目の公開テストネット「Hoodi」やメインネットへの実装日程の決定は見送られており、年内の本番稼働に向けて不確実性が残る状況です。

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

公開テストネット「Sepolia」への暫定日程と合意の背景

イーサリアムのコア開発者らは、第186回オールコアデベロッパーコール(ACDC#186)において、次期アップグレード「Glamsterdam」を公開テストネット「Sepolia」で10月6日13時53分(協定世界時)に稼働させる方針を暫定的に固めました。ブロックチェーンアナリストのクリスティーン・D・キム氏が9月11日に公開した情報によると、この決定は複数の留保条件付きとなっています。

イーサリアムは前回の大型アップグレード「Fusaka」を昨年12月にメインネットへ実装し、年2回の更新ペースを目標として掲げてきました。半年に一度という積極的な開発スケジュールを継続する中でスピードが重視される一方、日程設定における不確実性も増しているとされています。今回のSepoliaでの日程決定も、プライベートテストネットでの実装が一度も成功していない段階で下された判断となります。

開発者向けテストネットで続く不具合と修正の課題

Sepoliaへの実装日程が設定されたものの、基盤となる開発者向けテストネットでは深刻な技術的課題が続いています。9月1日に稼働した「Glamsterdam-Devnet-9」では、これまでで最大規模となる1,000のバリデータノードを投入したものの、正しくブロックを提案・証明するバリデータが不足し、ブロックがファイナライズできない状態が続いています。イーサリアム財団のステファン・スターフリンガー氏は、大規模なネットワークを動かしたことで対処すべき課題が多く浮き彫りになったと言及しています。

また、クライアントソフトウェアの不具合も複数報告されています。前段階の「Devnet-8」では、コンセンサス層(合意形成を担う層)において親ブロックと同一のハッシュを持つブロックを提案するとネットワーク全体が停止する重大なバグが確認されました。さらに実行層(取引の処理を担う層)でも、状態作成のガスコスト引き上げを定めた「EIP-8037」にバグが見つかり、全クライアントでの修正が求められています。開発者らはこれらの修正を反映した新たなテストネット「Glamsterdam-Devnet-10」を数週間以内に立ち上げる予定ですが、ここで再び問題が発生した場合は、10月6日に予定されているSepoliaへの実装が見送られる可能性があります。

2本目のテストネット「Hoodi」の延期とメインネットへの影響

Devnetでの不安定な状況を受け、開発者らは2本目の公開テストネットとなる「Hoodi」の日程設定を見送ることで合意しました。クライアント「Teku」を手がけるConsensysのエンリコ・デル・ファンテ氏らは、まずはSepoliaの動向を見極めた上でHoodiの日程を固める方針を示しています。

この結果、メインネットへの実装日程も現時点では白紙のままとなっています。開発者側には年内のメインネット実装への期待が残されているものの、10月6日にSepoliaを更新したとしても、12月の本番稼働に間に合う確証はありません。新しく立ち上げられるDevnet-10が安定すれば、レイヤー2やステーキングプロトコルが安全に事前検証を行える最後の機会になるとみられますが、各クライアントがメインネット水準に達している根拠はまだ整っておらず、今後の検証作業の進捗が開発日程を左右するとみられます。

ポイント

  • イーサリアム開発者は次期アップグレード「Glamsterdam」の公開テストネット「Sepolia」への実装日を10月6日13時53分(UTC)に暫定決定しました。
  • 開発者向けテストネット「Devnet-9」では1,000バリデータでの検証でもファイナライズが完了せず、コンセンサス層や実行層のバグ修正が求められるなど技術的な留保条件が付いています。
  • 数週間以内に立ち上げ予定の「Devnet-10」で不具合が続いた場合、Sepolia実装が延期される可能性があり、テスト運用の進捗次第では日程再考の議論が行われます。
  • 不安定な状況を踏まえて2本目の公開テストネット「Hoodi」およびメインネットの実装日程は見送られており、年内本番稼働の余地は残るものの確実性は不透明な状態です。
  • 外部のレイヤー2やステーキングプロトコルにとって、Devnet-10がSepolia更新前に安全にテストできる重要な機会になるとみられます。
ブロックチェーン総研プライムBlockchain Research Institute Prime
数字とニュースでブロックチェーン産業を読む。新着レポートの公開をメールでお知らせします。
確認メールのリンクをクリックすると登録完了。配信はいつでも解除できます。プライバシーポリシー