日本の金融庁は2026年6月24日、リップル社が手掛ける米ドル建てステーブルコイン「RLUSD(Ripple USD)」について、国内の規制枠組みにおける運用を正式に認めました。外国発の米ドル建てステーブルコインとして初めて同等性審査を通過し、SBIグループを通じて機関投資家および個人投資家向けに提供されます。今回の承認は、日本国内での利用拡大にとどまらず、オンチェーン上で取引・決済される巨大なドル市場が形成されつつあることを示しています。
海外発ステーブルコインの解禁と国内投資家の意識
今回の金融庁による承認は、金融庁の同等性枠組みに基づき、海外で発行された米ドル建てステーブルコインが国内法上の正規な決済手段として認められた初の事例です。認可を受けたRLUSDは、SBI VCトレードなどの取引業者を通じて提供が行われます。
国内の機関投資家におけるステーブルコインへの関心は着実に高まっています。野村ホールディングスなどが2026年4月に公表した日本の投資専門家518人を対象とする調査では、回答者の63%が資金管理や越境決済、外国為替取引などの業務においてステーブルコインの活用価値を見出していることが明らかになりました。一方で、同調査では銀行などの大手金融機関が発行するコインに対して最も厚い信頼が寄せられていることも示されています。金融規制や銀行への信頼が厚い日本市場において、規制に準拠したドル建てステーブルコインがパブリックブロックチェーン上で扱える環境が整ったことは、Web3金融の普及に向けた重要な節目と位置づけられます。
発行基盤から取引拠点への流動性の集積
RLUSDは初期段階においてイーサリアム上でローンチされましたが、オンチェーン市場における流動性は取引執行の厚みやコストの低さを求めて自律的に移動しています。米Evernorthのデータによると、流通するRLUSDの過半数にあたる約51%(2026年6月時点、同年4月時点の17%から急増)がXRPレジャー上に存在しており、特にXRPとの取引ペアにおいて市場の厚みが形成されています。
XRPレジャー上におけるドル建てステーブルコインの決済規模は急拡大を遂げています。2026年5月における単月決済額は約50億8,000万ドルに達し、18カ月前(2024年12月時点の約6,800万ドル)と比較して約75倍の規模へと成長しました。累計取引額は25億ドルを超えており、RLUSD/XRPペアの清算額だけでも過去6ヶ月間で約9億ドルに達しています。発行されたブロックチェーンの枠を超えて流動性が効率的なネットワークへ集約していく現況は、1950年代に米ドル発行地である米国を離れてロンドンで発展したユーロダラー市場の歴史的経緯とも重なると分析されています。
越境決済インフラの効率化と金融ビジネスへの影響
日本においては、円安傾向が続くなかで膨大な貯蓄基盤や対外投資が存在するものの、従来の越境決済インフラは処理速度やコストの面で課題を抱えていました。オンチェーン上で機能する規制対象の米ドルは、メッセージを送信するような手軽さでドル建ての決済や資金管理を行う手段を提示します。
現在、日本の大手金融機関による円建てステーブルコインの構築も進められています。オンチェーン環境で米ドルと日本円の双方が決済可能となることで、価値を伝達する中立的な決済レールとしてのブロックチェーンの役割が一層際立つと見込まれます。自律的に流動性が集まるネットワークの動向を見極めることが、今後のWeb3金融インフラを構築する上で極めて重要な視点となります。
ポイント
- 金融庁がリップル社の「RLUSD」を承認し、外国発のドル建てステーブルコインとして国内で初めて規制枠組みの下で提供が開始されました。
- 国内投資専門家の63%が資金管理や越境決済におけるステーブルコインの活用法を認知しており、実務利用への期待が高まっています。
- イーサリアム上で発行されたRLUSDですが、2026年6月時点で流通量の約51%がXRPレジャー上へ移行しており、流動性の集中が進んでいます。
- XRPレジャー上の単月決済額は50億ドルを突破し、数日要していた従来の国際送金を大幅に効率化する決済ネットワークとしての役割を果たしています。