フランクリン・テンプルトンがカントン・ネットワークのスーパーバリデーターに参画

米大手資産運用会社フランクリン・テンプルトンが、機関金融向けパブリックL1ブロックチェーン「カントン・ネットワーク」のスーパーバリデーターに参画することが発表されました。同社はネットワークの中核インフラ運用を直接担い、トークン化ファンドの24時間365日の設定・解約機能などの実用化を目指します。ナスダックやビザなどに続く参画であり、伝統的な金融機関がブロックチェーンのインフラ運用に直接関与する動きとして注目されます。

スーパーバリデーター参画の背景と役割

フランクリン・テンプルトンのデジタル資産部門は2026年8月3日、カントン・ネットワークのスーパーバリデーターになると公式Xで発表しました。カントンは取引情報を閲覧できる参加者を限定するプライバシー機能を備えたパブリックL1ブロックチェーンであり、規制対象となる金融資産や複数機関にまたがる取引を機密性を保ちながら処理できるよう設計されています。

スーパーバリデーターは、同ネットワークの共有調整基盤である「グローバル・シンクロナイザー」を運用するノード運営者です。ネイティブトークンであるカントンコイン(CC)の移転検証やコンセンサス形成、ネットワークのガバナンスなどを担います。

フランクリン・テンプルトンは、金融機関はブロックチェーンを利用するだけでなく運営にも関与すべきだという考えを示しました。伝統金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)の融合が進む中、トークン化資産を安全かつ法令に準拠した形で資本移動の仕組みに統合することを推進しています。カントンにはすでにナスダックやビザ、日本のSBIデジタルアセットホールディングスなどがスーパーバリデーターとして参画しています。

段階的な報酬ウェイトと達成マイルストーン

今回の参画に関するカントン改善提案「CIP-0118」は6月4日に作成され、6月10日に承認されました。フランクリン・テンプルトンには、カントンコイン報酬の算定比重を示す「報酬ウェイト」が最大5まで設定されています。報酬ウェイトは最初から満額付与されるのではなく、事前に定められたマイルストーンの達成に応じて段階的に加算されます。

最初のマイルストーンは、CIP承認から6カ月以内にカントンのメインネット上で少なくとも1件の財務管理取引を本番運用として実行することです。トークン化米国債やデジタルキャッシュの保有、リポ取引またはリバースリポ取引などが対象となり、達成により報酬ウェイト1が付与されます。

2つ目のマイルストーンは、CIP承認から9カ月以内にトークン化ファンドで24時間365日の設定・解約機能を実用化することです。ステーブルコインやトークン化要求払預金をオンチェーンで受け渡し、ファンド持分を設定・解約できる仕組みが想定されており、達成により報酬ウェイト1が追加されます。

さらに同社は、CIP承認から18カ月以内におけるトークン化ファンドの累計設定・解約額に応じて追加の報酬ウェイトを獲得できます。オンチェーン上の実取引を通じた額が1億ドルごとに報酬ウェイト0.5が加算され、追加分は最大3となります。

利用者からインフラ運営者への役割拡大

フランクリン・テンプルトンはすでに、独自のトークン化投資商品管理基盤である「ベンジ・テクノロジー・プラットフォーム」をカントンへ接続しています。同基盤は公募投信などのシェア記録をブロックチェーン上で管理するシステムとされています。カントン側は2025年11月に同基盤の統合を発表していましたが、今回の参画により同社はネットワークの利用者から中核インフラの運営者へと役割を拡大させることになります。

大手の資産運用会社が自らノード運営に携わり、メインネット上での実取引や24時間体制でのファンド設定・解約の実証を進めることは、機関投資家資金のオンチェーン移行を支える基盤構築において重要な意味を持つと見られます。

ポイント

  • フランクリン・テンプルトンがカントン・ネットワークのスーパーバリデーターに参画することを発表しました。
  • グローバル・シンクロナイザーの運用やカントンコインの移転検証、コンセンサス形成、ガバナンスなどの役割を担います。
  • 報酬ウェイト獲得に向け、6カ月以内の財務管理取引の実行や9カ月以内の24時間365日ファンド設定・解約機能の実用化などのマイルストーンが設定されています。
  • 自身の技術基盤接続によるネットワークの「利用者」から、中核インフラの「運営者」へ関与を広げる取り組みとして注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta