ビットゴーがWBTCのクロスチェーン基盤にチェーンリンクのCCIPを採用 セキュリティ重視の運用へ全面移行

暗号資産のカストディおよび管理サービスを手がけるビットゴー(BitGo)は、ラップド・ビットコイン(WBTC)および今後自社が発行するすべての資産において、独占的なクロスチェーン基盤としてチェーンリンク(Chainlink)の「CCIP」を採用すると発表しました。従来利用していた基盤からCCIPへの全面的な移行を進め、複数のブロックチェーンへ展開する際のセキュリティ管理や運用手法の一元化を図ります。時価総額77億ドル(約1.21兆円)を超えるWBTCを抱える同社の決定は、デジタル資産における安全性を最優先したインフラ選定の動きを象徴するものといえます。

CCIP採用の理由と機関レベルのセキュリティ機能

ビットゴーが採用を決めた「CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)」は、異なるブロックチェーン間でトークンやデータを相互運用するためのプロトコルです。同社が移行を決めた理由として、セキュリティを重視した設計や機関レベルの運用基準、そして発行体による柔軟なリスク管理機能への対応が挙げられています。

CCIPの仕組みでは、各ブリッジレーンがセキュリティ審査を受けた少なくとも16の独立したノード運営者によって保護されます。また、発行体自身が送金のレート制限や管理機能を直接設定できるため、クロスチェーン間でのリスクを細かく制御することが可能です。

さらにビットゴーは、チェーンリンクのクロスチェーン・トークン(CCT)標準も活用する計画です。これにより、対応する複数のブロックチェーンで統一された正規のWBTCを展開でき、一貫性と検証可能性を備えたセキュリティモデルを構築できます。トークンのデプロイに関する所有権を維持したまま、自社のスマートコントラクトをCCIP固有のコードに依存させずに追加のセキュリティ対策を実装できる点も特徴です。

移行の背景と相互運用性インフラの安全性を巡る動向

WBTCは、ビットコイン(BTC)を裏付け資産とし、イーサリアムをはじめとする多様なブロックチェーン上でDeFi(分散型金融)などに活用されているトークンです。従来はレイヤーゼロ(LayerZero)の規格をクロスチェーン基盤として活用していましたが、今回の発表によりCCIPへ完全に切り替わることになります。

この背景には、クロスチェーンブリッジを巡るセキュリティ事案への懸念が存在します。2026年4月には、同様の基盤を利用していたケルプDAOのブリッジにおいて、オフチェーンの検証基盤が侵害され裏付けのないトークンが不正に払い出される事案が発生しました。これを機に、ケルプDAOやソルブ・プロトコル、リといった複数のWeb3プロジェクトがCCIPへの移行方針を表明しています。

大手の暗号資産カストディ企業であるビットゴーがWBTCおよび今後の発行資産すべてをCCIPに統合したことは、今後の機関投資家向けWeb3ビジネスにおいて、クロスチェーンインフラに対するセキュリティ要件がより厳格化していくことを示す重要な事例と見られます。

ポイント

  • ビットゴーが時価総額77億ドル超のWBTCおよび今後発行する全資産のクロスチェーン基盤としてチェーンリンクのCCIPを独占採用した点
  • 16以上の独立ノードによる保護や発行体による送金制限機能など、機関レベルのセキュリティ設計が評価された点
  • トークンコントラクトの所有権を自社で維持しながら複数チェーンへ展開できる「CCT標準」を活用する点
  • 過去のブリッジ不正流出事案を受け、DeFi市場全体でより高いセキュリティと透明性を備えた相互運用プロトコルへ移行する潮流が強まっている点

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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