三菱UFJアセットマネジメントら4社が国内初のトークン化投資信託を設定。2億円の短期国債運用を通じてデジタルマネー連携を検証する方針

三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行、Progmatの4社は2026年9月3日、国内初となる国内籍のトークン化投資信託を設定し、実運用環境での実証を開始したと発表しました。残存期間3カ月以下の短期国債を対象とする円建て投資信託に自己資金2億円を拠出し、運用や受託、権利管理、トークン化基盤などの一連の機能を実際に稼働させます。単なる売買の効率化にとどまらず、ステーブルコインやトークン化預金などのデジタルマネーと接続し、運用、決済、担保利用を統合するオンチェーン金融インフラの確立に向けた取り組みとして注目されます。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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実運用環境で進めるファンド運営とデジタルマネー連携の狙い

4社は2025年12月から国内籍トークン化投資信託の商品化に向けて法的整理や業務フローの整備を進めており、2026年8月31日に実証用のファンドを設定しました。このファンドは日々購入や解約が可能な設計で、外部の投資家向け販売は行わず、2億円のシードマネー(運用開始時の元手)を用いて運用されます。

Progmat代表取締役 Founder and CEOの齊藤達哉氏によると、今回の実証は単にトークンを発行する技術検証ではなく、設定後の資産運用、基準価額の算定、追加設定や解約、収益分配、受益権管理といった実務プロセス全体を実環境で動かす点に特徴があります。狙いは単なる24時間売買の実現ではなく、ステーブルコインやトークン化預金と連携させることにあります。余剰資金の運用と決済手段への切り替え、投資信託を担保とした資金調達、証券受け渡しと支払いを同時に行うDvP(Delivery versus Payment)決済など、権利や資金、業務指図をプログラム可能につなぐ仕組みの検証が進められます。

オンチェーン資産の需要と現行法制度における課題

海外ではBlackRockの「BUIDL」をはじめ、米国債やMMF(マネー・マーケット・ファンド)のトークン化が進展しています。これらはオンチェーンの待機資金を利回り商品として運用しながら、必要に応じて機動的に決済や担保として利用できる実需を背景に拡大しています。国内でも円建てステーブルコインなどの整備が進みつつある中、それらと接続して運用や担保に利用できる国債や投資信託といった資産側のオンチェーン化が必要とされています。

一方で、国内籍投資信託のトークン化には制度上の制約が存在します。日本の現行法では投資信託受益権を「受益証券」という券面で表示することが法律上の前提となっており、株式や社債のように券面を発行しない制度が整っていません。そのため今回のファンドでも受益証券の発行を前提とし、保有者の記録原簿をオンチェーンで管理する形態をとっています。現段階ではブロックチェーン上でのトークン移転のみで法的な権利移転が完結するわけではないため、4社は実運用を通じて課題を洗い出し、法改正や業界ルールへ反映させる取り組みを並行して進める方針です。

ポイント

  • 三菱UFJグループ3社とProgmatが、国内籍として国内初となるトークン化投資信託を設定し、2億円の短期国債運用を行う実運用環境での実証を開始しました。
  • トークン発行の実験にとどまらず、運用や基準価額算定、受益権管理などの一連の実務を実際に動かし、継続的なファンド運営に必要な課題を洗い出す点で意義があります。
  • ステーブルコインやトークン化預金と接続し、運用、決済、担保利用をシームレスに統合する「使える資産」の創出を目指す点で注目されます。
  • 現行法では受益証券の券面発行が前提とされているため、原簿のオンチェーン管理から着手し、実証を通じて制度整備や法改正へフィードバックを図るアプローチが取られています。
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