SBIグループがステーブルコイン決済のdtcpayへ戦略出資。シリーズA調達総額は当初の1,000万ドルから2,500万ドルに拡大

シンガポール拠点の決済ライセンス保有企業dtcpayは、シリーズA資金調達ラウンドを総額2,500万ドル規模で完了し、日本の大手金融グループであるSBIグループが戦略的投資家として参画しました。同ラウンドは2026年4月にシンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングス傘下のVertex Holdingsの一員であるVertex Ventures Southeast Asia & Indiaが主導して開始され、当初の調達目標だった1,000万ドルから規模を拡大しての完了となりました。dtcpayはシンガポールや欧州をはじめとする各国で規制ライセンスを保有して決済基盤を整備しており、円建てステーブルコイン事業を進めるSBIグループにとっては同分野での戦略的な事業連携を視野に入れた投資とみられます。

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイト編集方針をご覧ください。

2経路を通じた出資スキームと参加投資家

SBIグループによる出資は、投資子会社であるSBI Ventures Asset Pte Ltdと、2022年に設立された「SBI-NTU-Kyobo Digital Innovation Fund」の2つの経路を通じて実施されました。このファンドはSBIグループが南洋理工大学系のNTUitive、韓国の教保生命保険グループ系Kyobo Securitiesと共同で設立したもので、東南アジアの新興デジタル企業を投資対象としています。

SBIグループ傘下でシンガポールの投資会社SBI Ven CapitalのCEOを務めるエイイチロウ・ソウ氏は、dtcpayについて規制に対応した決済インフラとしての実績を評価し、今回の出資を戦略的パートナーシップの始まりと位置付けています。なお、SBIグループは国内で円建てステーブルコイン「JPYSC」を手掛けているほか、韓国教保生命保険とともに円とウォンのステーブルコインを用いた日韓資金移転の実証実験を行うなど、関連事業の拡大を進めています。

本ラウンドにはSBIグループのほか、20億ドル超の運用・助言資産を持つシンガポールの資産運用会社Genedant Capitalや、既存投資家である実業家のクウィー・リョンテック氏も追加出資を行いました。Genedant CapitalのCEOであるクェック・ハウジャン氏も、dtcpayが日常の商取引にステーブルコイン決済を組み込む規制対応インフラを構築している点を評価しています。

多国間ライセンスの保有状況と実店舗での決済導入実績

dtcpayは規制対応を重視した事業展開を行っており、シンガポール金融管理局からMajor Payment Institutionライセンスの認可を受けています。さらにルクセンブルクで電子マネー機関ライセンスを取得しており、欧州経済領域において規制に準拠したサービス提供が可能な体制を整えています。このほか、香港、オーストラリア、米国、カナダにおいてもライセンスや登録を保有しています。

提供サービスとしては、店頭でステーブルコイン決済を受け付けられるデジタル決済トークンPOSソリューションを展開しています。インフラ面では700以上のウォレットに対応するWalletConnectとの連携や、BNBチェーンとの提携を結んでいます。また、Visaとの提携により世界1億5,000万カ所以上の加盟店で利用可能なステーブルコイン建て「Visa Infiniteカード」の発行も行っています。

加盟店の導入事例としては、シンガポールの百貨店Metroが同国で初めてステーブルコイン決済を導入したほか、キャペラ・シンガポールなどのホスピタリティ施設でも利用が進められています。

調達資金の充当先と2026年後半に向けた開発計画

今回のシリーズAラウンドで調達した総額2,500万ドルの資金は、決済ネットワークの拡大と加盟店(マーチャント)基盤の開拓に充てられます。

プロダクト開発においては、2026年後半にかけて法人向けビジネスポータルの刷新を行うとともに、提供アプリに対する新機能の追加を予定しています。

ポイント

  • dtcpayがシリーズA調達を総額2,500万ドルで完了し、当初公表の1,000万ドルから調達規模を大幅に拡大させた点で注目されます。
  • SBIグループが投資子会社と共同ファンドの2経路から出資に参画し、ステーブルコイン決済基盤との戦略的パートナーシップを開始した点で注目されます。
  • シンガポールや欧州などの主要市場で規制ライセンスを保有し、Visa提携カードや百貨店での店頭決済など実社会での商用導入実績を積み上げている点で注目されます。
  • 調達資金をもとに加盟店網を拡充し、2026年後半にかけて法人向けポータルの刷新やアプリ機能の強化を進める計画である点で注目されます。
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